2010年12月30日木曜日

法輪寺の十一面観音

法隆寺・中宮寺を拝観したあと、斑鳩を散策しながら古民家風の食堂で昼食をとってから法輪寺へ向かった。法輪寺は聖徳太子の御子・山背大兄王の発願の寺だ。境内は人気がなく静かなたたずまいだった。本堂の中は薄暗かったが、飛鳥時代のご本尊である薬師如来をはじめすばらしい仏たちが露出展示で居並んでおられた。ご本尊もすばらしいが、私が特に気に入ったのがこの平安時代に造られた十一面観音だ。あとで知ることになるが、この十一面観音はかの白洲正子が「十一面観音巡礼」で絶賛した仏だ。4メートル近い巨体は、正に「丈六」と呼ぶにふさわしい仏像で、お顔もふつうより男性的に造られ、全体からうける感じが力強い。私には目が大きくいわゆるギョロ目な観音様だと感じた。三重塔やこれらの仏たちの対面はこの旅行の中の忘れられない風景として深く私の心に残るだろう。

2010年12月28日火曜日

法隆寺の百済観音

奈良2日目の朝は法隆寺に向かった。西円堂の薬師如来(峰の薬師)を拝観してから金堂に向かった。すばらしい釈迦三尊を金網越しに拝ませていただいた。LEDの照明で少しはましになったが、やはり暗かった。百済観音堂に向かう。亀井勝一郎が訪れた戦前は金堂に橘夫人念持仏の横に安置され、私が修学旅行で出会ったとこにはお堂の隅に雑然と置かれていたが、近年百済観音堂が整備され、法隆寺の寺宝と共に博物館風のお堂のなかで見られるのがうれしい限りだ。「奈良の古寺と仏像展」でお会いした菩薩立像や夢違観音も展示されていたが、一番印象に残ったのはやはり百済観音だった。例の妙に細長い飛鳥時代の仏像である。顔と胴の長さがアンバランスなのがまたいい。ガラス越しだがそのすばらしさが十分感じられた。

2010年12月25日土曜日

薬師寺の薬師如来

奈良旅行1日目の最後は薬師寺に向かった。あの白鳳仏の傑作薬師三尊がある
寺だ。修学旅行の学生でごったがえす金堂に向かった。扉は開かれており、中の薬師三尊が見えている。近くに来てまず手を合わせ、じっくりと鑑賞した。テレビ番組「仏像大好」で事前に予習していたため鑑賞のポイントをしぼってじっくり拝んだ。まずは本尊の水かき。本尊の指のまたに粘液のようなものが表現されているのが、仏の相とされる水かきだ。足の裏の模様の仏の相のひとつだ。脇侍の日光・月光菩薩は2008年に開催された国宝薬師寺展でお会いしていたが、その際は光背をはずして展示されていたので背中の様子もよくわかったが、今回は光背をつけたお姿だ。台座も鑑賞ポイントだ。ギリシャの葡萄文様やペルシャの蓮華文様やらが混在したレリーフがある。中央の力神もユニークだ。感動に酔いしれていたいが、閉館時間も近いので講堂に向かった。

2010年12月23日木曜日

仏像クラブ活動報告(イケ仏)

東寺は弘法大師空海が開いた寺で、真言密教の曼荼羅世界を三次元で現した「立体曼荼羅」が有名。われわれは立体曼荼羅がある東寺講堂の中に入った。四方を四天王が固め脇を梵天・帝釈天が押さえ、右から五大菩薩・五智如来・五大明王と合計21体の仏像が並ぶ。その迫力に圧倒される。なかでもすばらしかったのは、象に乗った帝釈天だ。今風に言えばイケメンな仏(イケ仏)で若い女性に人気があるが、存在感がありすばらしかった。来年の夏このイケ仏が上野の東博で開催される「空海と密教美術展」に出展される。間近に見られるのがいまから楽しみだ。
国宝の四天王もすばらしく、なかでも平安時代に造られた持国天の迫力に圧倒された。そこでU案内人が「これが秘密荘厳心の世界です。」とぽつりと言った。講堂の外に出るとまさに桜が満開ですばらしい眺めだ。わたしのお目当ては「春の特別公開」が行われている宝物館の「兜跋毘沙門天」だったが、立体曼荼羅を見たあとでは拍子抜けしてたいした感動はなかった。東寺を出て京都駅で京都名物のおばんざいを食べながら、この仏像鑑賞旅行の感動を語り合い新幹線で帰路についた

2010年12月18日土曜日

唐招提寺の盧舎那仏

奈良1日目の午後は西ノ京の寺院めぐりだ。駅前で昼をすませ、まず唐招提寺に向かう。いわずと知れた「天平の甍」のお寺だ。平成の大修理を終え大屋根は天平の昔にもどったようだ。南大門からのながめがすばらしい。平成の大修理では仏像も修復されたという。千本ある千手観音の手もすべてはずしもとに付け直したという。金網はあったが、網目が大きいので見やすい。仏像がすぐ近くに見えた。まず中央に座る本尊盧舎那仏に目が行く。迫力に圧倒された。大きくどっしりとしているが、蓮華座の下部が細くくびれているので、重量感はあるのにふわりと軽く浮き上がるような印象だ。右に薬師如来、左に千手観音が立っている。双方5メートル以上はあろうか。本尊に負けず劣らずの大きさだ。三尊は造られた年代や技法が違い、奈良から平安にかけての仏像の変遷がわかり興味がつきない。奈良仏の本尊より薬師や千手にはどことなく色気を感じる。修学旅行の学生で込み合う喧騒の中、私は飽くことなくこの三尊に見入ってしまった。

2010年12月11日土曜日

特別展東大寺大仏(五劫院のアフロな仏)

東大寺大仏展の最後に展示されているのがこの五劫院の五劫思惟阿弥陀如来像だ。このアフロな仏見たさに今年の春奈良まで見に行ったが、お寺では厨子の中に展示され下から見上げるためそのお姿があまりよく拝めなかった。しかし今回は展覧会なのでじっくり近くから拝むことができた。五劫という長い時間を髪の毛の長さで表したためこのようなヘアスタイルになっている。この像は重源上人が中国から招来した仏像で、顔は大きく体は一個の塊のように見え、造形が大胆で日本の作風とかけはなれている。今年の夏に東大寺のアフロな仏を「奈良と古寺の仏像展」で見たが、東大寺のはおとなしく和様化している。中国色の強い特異な作例が東大寺の末寺に残るのは、重源周辺に中国風を積極的に受け入れる雰囲気があったという説がある。女性にも人気なこの仏が展覧会の最後をかざるのもなんとも心憎い演出である。

2010年12月4日土曜日

来迎寺の如意輪観音

本日は仏像クラブ今年最後の仏像鑑賞会だった。鎌倉は今紅葉の盛りで瑞泉寺の紅葉がすばらしかった。瑞泉寺を後と向かったのが、西御門の来迎寺だ。本堂の前のインターフォンを押して案内をお願いするシステムになっている。本堂右手が今回お目当ての如意輪観音だ。お寺の方の説明によると南北朝時代に製作されたとのこと。小首をかしげるポーズが悩ましい。六臂の手に輪宝・如意宝珠・羂索を持ち、仏像でありながら官能美を感じさせる。浄光明寺の宝冠阿弥陀と同じく土紋があり、鎌倉仏の影響を受けている。蓮華座も当時のものでとても美しい。如意輪観音の色気にあてられた仏像クラブ一同だった。

2010年12月1日水曜日

遷都1300年奈良現地レポート(大元帥明王)

今回の奈良旅行の目的のひとつが、遷都1300年記念特別開帳で仏像を多くみることであった。前から気になっていた仏像が秋篠寺の大元帥明王だ。目にしみるほど苔むす庭を歩き受け付けへ。紅葉に染まりつつある境内を抜けてまずは本堂に入る。中央に薬師如来・日光・月光が控えかわいい十二神将が脇をかためる。あの有名な伎芸天は左端におられた。何年か前に訪れ、写真をずっと部屋に飾っていた仏像だ。
やはり実物はすばらしく「東洋のミューズ」と言われるのもうなづける。今回は大元堂も拝観できるので、お寺の方に「だいげんすい明王はどちらですか。」と尋ねたら、「たいげん明王」といいますと厳しく訂正いただいた。大元堂の中に入るとその方はおられた。全身に蛇を巻きつけて明王像だがどことなくかわいらしい。とても魅力ある仏像だった。じっくり見てから次の目的地西ノ京に向かった。