2011年7月15日金曜日

空海のみほとけたち③(兜跋(とばつ)毘沙門天)

京都東寺の兜跋毘沙門天を初めて知ったのは「見仏記」だった。単行本の表紙にみうらじゅん氏のイラストで兜跋毘沙門天が描かれており、調べてみると東寺の宝物館に展示されており、春・秋の特別展に訪れればみられるとのこと。20年に週刊「日本の仏像」でも紹介されすぐさま京都仏像旅行を企画したきっかけとなった仏像だ。兜跋(とばつ)とはトルファン・突厥(とっけつ)の音写で今の中央アジアをさす。異国の民が西域を攻めたときこの毘沙門天が現れ敵を撃退した故事にちなんで、平安京の羅生門に祭られていたという。大きな宝冠をかぶり異国風の鎧を身にまとう武装した守護神だ。面長な顔に黒い石がはめ込まれている目がりりしく、ベルトには獅子噛(ししがみ)というライオンの顔の飾りがあり当初は緑に彩色されていたという。このように立派な毘沙門天が地天女に支えられているのが面白く注目ポイントだ。東寺宝物館では、照明が悪くあまり感動しなかったが、来週からいよいよ始まる「空海と密教美術展」に展示されドラマチックの照明に浮かび上がる兜跋毘沙門天が今から楽しみだ。

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