2012年5月19日土曜日

ボストン美術館展で謎多き仏師円慶の地蔵菩薩に出会う

ボストン美術館展で初めて円慶という仏師の地蔵菩薩を見た。円慶とは聞きなれない仏師の名だが、図録などをみるとどうやら慶派の仏師で、主に地方で活躍したとのこと。本作品は九州福岡にあったお寺で開眼供養された仏像だという。地蔵菩薩というとこの秋「鎌倉国宝館」の展覧会に出品される静岡瑞林寺の運慶父康慶の手による地蔵菩薩を思い出す。半跏趺坐(はんかふざ)する姿や手の運びなどが似ているとのことだが、全体の印象は康慶の地蔵菩薩ほど明るい雰囲気ではなく、円慶が生きた南北朝時代を反映している。しかしながら優れた作品であることは、その神秘的な雰囲気からもわかる。ボストン美術館展で出会った印象的な作品であることは間違いない。他の作品も見たい衝動にかられて会場をあとにした。

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