2013年4月6日土曜日

特別展「飛騨の円空」⑦

会場でひときわ大きな展示品がこの千光寺の金剛力士立像吽形(うんぎょう
)だ。円空が立ち木(自然木)に梯子をかけ掘り出したという言い伝えが残る像高2m強の作品だ。円空は木に宿る仏を見て彫ったといわれるが、まさにこの作品はその典型だろう。会場では一緒に江戸時代に刊行された「近世畸人伝」(きんせいきじんでん)の挿図も一緒に展示されており、立ち木に梯子をかける円空の姿がおさめられている。伝記には「二王を彫る」との記述があり会場を探したが阿形の金剛力士は見つからなかった。後で購入した「美術手帖」では漫画「バカボンド」の作者井上氏が千光寺を訪ねたとき円空寺宝館に展示されている「阿形」の金剛力士の写真が掲載されており、顔が二つに割れ金剛杖を持った金剛力士だった。保存のために東博の展示を控えたようだが、できれば二体並んだ姿を見たかった。この像からは、自然と一体となった円空仏の真髄を見る思いがした。

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