2014年2月16日日曜日

成島毘沙門堂の兜跋(とばつ)毘沙門天

平成21年夏に岩手県を訪れた。当初は毘沙門天めぐりをしようと思ってい
たが、お寺の都合その他で拝観がかなわずこの成島毘沙門天のみの拝観となった。ツアーの参加者は私一人だったので、宮沢賢治ゆかりの地は、早めに周り成島毘沙門堂に時間をかけてもらうようガイドに頼んだ。成島毘沙門天は重要文化財に指定されているので山の上の収蔵庫に向う。拝観券を売ってくれたおじいさんと一緒に中に入る。目の前にほぼ五メートルはある毘沙門天が現れた。兜跋(とばつ)毘沙門天といわれる、その珍しい仏像は一木造で、地天女と呼ばれる女性の肩に載り、私をしっかりと見下ろしていた。別冊太陽「みちのくの仏像」によると当初の彩色が残り、頭部、体部、地天のそれぞれの背面に内刳り(うちぐり)が施され軽量化が図られているという。とわいえ圧倒的な重量感でせまってくる。その毘沙門天を苦しげに地天女が支えているように見えた。一木からこれだけの巨像を破綻なく彫り出す仏師の技量は並大抵ではない。坂上田村麻呂の化身と言われるのもうなずける。圧倒されながら成島毘沙門堂をあとにし、今夜の宿鉛温泉まで送ってもらった。


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